ヨーロッパは2度の世界大戦で主戦場となり、多くの悲劇が生まれた。
そして、戦争の悲惨さやそこで戦った英雄たちを忘れてはいけない、という思いから多数の戦争映画が制作されている。
そのような中で2019年6月に公開される映画は非常に注目している。
「アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場」
この映画は北欧の国フィンランドで制作された。
フィンランドもまた、世界大戦の惨禍をまともに被った国なわけで。。
少し予備知識を入れてから映画を見ると面白いと思うので、簡単に書いておきます。※詳しく知りたければウィキってw
フィンランドの独立
第一次世界大戦(1914~18)末期に、当時のロシア帝国内から独立宣言したフィンランドは、1919年にフィンランド共和国憲法を制定して正式に独立国家となった。
その間、ロシアでは帝政が崩壊してソビエト社会主義共和国連邦が建国。
冬戦争
1939年にドイツがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が勃発。
ソ連も(当時はドイツと友好関係とはいえ)、東に向けて勢力拡大を続けるドイツの動静は安全保障にかかわることに。。。
そこで、ソ連は隣接する国々を自国の勢力圏に含めようとしたが、それに抵抗をしたのがフィンランドだった。
ソ連の過酷な領土要求をはじめとするムチャブリに、可能な限り戦争回避を模索し続けたフィンランドの努力もむなしく、1939年11月30日 ソ連・フィンランド開戦。
当時多くの国がソ連の圧倒的な力の前に、小国フィンランドはあっという間に敗北するだろう、と考えていた。
ところがどっこい!
蓋を開けてみると、前半戦はフィンランド軍が連戦連勝!
予想外の苦戦を強いられたソ連軍は、フィンランド軍を超える犠牲者をだしてしまう。
それまではフィンランドをなめてかかっていたソ連首脳部も本腰をいれて戦いに臨み、4か月の戦いの中で「やっとの思いで」ソ連は勝利を得ることになった。
しかし、ソ連は当初フィンランド全域を占領する予定がそれが叶わず、フィンランドから国土の10%を奪うところで妥協せざるを得なかった。
しかしフィンランドは、10%の国土を奪われる屈辱的な結果に、ソ連への「復讐」を誓う。
しかし独力だけでソ連には歯が立たず、さらにフィンランドに支援の手を差し伸べる国もない。
※同じ民主国家のアメリカは同情的な態度をとっていたけど具体的な行動は起こさず、イギリスも消極的な支持しかしない有様。。。
フィンランドの政治がとてつもないハードモード過ぎて泣けてきた・・・
なし崩し的に、不本意ながらも当時ヒトラー政権下のドイツに接近せざるを得なくなっていた。
この約4か月の戦争を「冬戦争」と呼んでいる。
本映画の舞台『継続戦争』
1940年に冬戦争が終わり、1941年6月にそれまで友好関係であったドイツがソ連に侵攻。
フィンランド国内には当時ドイツ軍が駐留しており、ソ連軍がフィンランド内のドイツ軍を空襲したことで、フィンランドはドイツの支援を得てソ連に宣戦布告!
フィンランドではこの戦争を「継続戦争」と呼んでいる。
※あくまで「冬戦争の続き」というスタンスの為。
開戦当初はフィンランド軍がソ連の意表を突いて迅速に進撃。
冬戦争で奪われた領土を短期間のうちに全て奪還した。
ただ、フィンランドはナチス・ドイツと異なり、領土拡大の野望があるわけでもなく、奪われた領土以上のソ連への侵攻は殆ど行わなかった。
しかし時代は下り1944年。
ドイツもソ連に対して完全に劣勢に回ってしまい、フィンランドにも大規模な攻勢を仕掛けてきたソ連。
ヴィボルグ-ペトロザヴォーツク攻勢
ソ連軍は40万人以上の将兵を投入し、スカンジナビア史上最大の戦いが開始。
フィンランド軍はドイツの援軍を入れても約35万。※戦車・航空機等は圧倒的にすくなかった。。。
※フィンランドは本当にチート級のハードモードな戦争をさせられていて可哀そうになってくる。
『ヴィボルグ-ペトロザヴォーツク攻勢』の名前で行われた一大戦闘。
結果 → フィンランドは踏ん張った。
圧倒的なソ連軍の侵攻にどうにか踏ん張り、「俺たちはまだ戦える!」というところをソ連に見せつけた。
ソ連がギブアップ
ソ連としては、小国フィンランドを今度こそぶっ潰す!という勢いで戦ってきたが、フィンランドの粘りにだんだん辟易してくる。
しかも、ソ連はフィンランドよりは、どちらかというとドイツが主要な敵なので、そちらに集中したい。
※なんだかんだドイツ軍とてつもなく強いし。
そこで、フィンランドへ攻撃を続けているうちに「この戦争 誰得??」と思い始めたソ連はついに1944年9月。
フィンランドと休戦協定を結び、フィンランドとの戦争だけを終わらせることにした。
戦争の結果
大国ソ連を相手にしたフィンランドの戦いは、結果的にソ連から領土は奪われたものの、独立を守り切った重要な戦争だった。
第二次世界大戦後の東ヨーロッパのように共産化することもなく、民主主義も平和も守り通した。
フィンランドの人々にとっては大変重要な戦争であり、忘れてはいけない、そして世界に忘れてほしくない戦争だろう。
映画のポイント
この映画は、ホームページによると「1テイクに使用した爆薬の量がギネス世界記録」に認定されているらしく、迫力ある戦闘シーンが期待できる。
また、「政府首脳」を主人公に置いた映画が多い中で「現場の兵士たち」にフォーカスをあてたことで、戦争のリアリティや戦場でのヒューマンドラマをしっかりと描けていることを期待したい。
予告編を貼っておくので、公開と同時に劇場へGO!!